俺の屍を越えてゆけ2 レビュー
発売元 | ソニー・コンピュータエンタテインメント(オフィシャルサイト) |
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発売日 | 2014/07/17 |
価格 | 6,264(税込) |
レーティング | 【C】15才以上対象 セクシャル 暴力 (CERO について) |
ショップ/リンク | Amazon |
タギングトップ3 | |
タイトル概要 | ■ ジャンル:RPG ■ プレイ人数:1人 |
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GOOD!
音楽は非常に素晴らしいと感じました。単純に良いというだけでなく、このゲームが持つ空気感とよく親和していて、「なるほどこういう雰囲気のゲームだよね」という説得力があります。だいぶ昔のゲームの続編が最新機種で出るというギャップ、あるいは私たちに馴染み深いはずの和風の設定に、非常に独特なゲーム性を兼ね備えているというギャップ。そういった、「懐かしさ」と「新しさ」の両面を持ったゲームだという点も見事に表現していると思います。
オリジナリティはやはり高いと思ます。短命の一族が子孫を残しながら少しずつ強くなっていき、悲願達成を目指す。RPGというジャンルにおいてこういったコンセプトのゲーム自体が珍しいし、またその珍しい世代交代型ゲームの中でも、「世代交代」というものにシステム面から深く踏み込んでいます。能力面での遺伝は前作からありましたが、今作ではそれにくわえてキャラクターの外見にも反映されるようになっていて、必ずしも美形が生まれるとは限らないわけですが、これはこれで面白いと思いました。グラフィック面のクォリティでもっと頑張れていたらさらに素晴らしかったのですが。
また、ネットワークを介して他プレイヤーの国へ「遠征」できるというのも目新しく、そのアイディア自体は良かったと思います。
BAD/REQUEST
熱中度については、残念ながら最低点をつけざるを得ません。今まで買ったほとんどのRPGを最後までクリアしてきた自分が、途中で投げ出したからです。
理由はいくつかありますが、「俺の屍を越えてゆけ」というタイトルなのに、その「俺」や「俺の子孫」が主人公ではなかったという点はやはり大きかったと思います。
「自分のキャラが世界の中心になかったから不満だ」と言っているわけではありません。大きな世界の仕組みの中でちっぽけな存在が精一杯生き抜き、その生き様が物語となることだってあります。そういった物語においては、そのちっぽけな存在は紛れもなく主人公です。そういった方向性で名作となったゲームはいくつも知っています。
しかしこのゲームはそうではありません。このゲームはヒロイン「夜鳥子」のために、名も無きキャラクターを操作し(もちろん名前をつけることはできますが、その名前に記号以上の意味はありません)、彼女の個人的なわだかまりとそれによって引き起こされた事件を解決してあげることが目的です。「夜鳥子」に尽くさないという選択肢は存在しませんし、「夜鳥子」を無視してゲームを進めるという選択肢も存在しません。
これはシナリオだけでなくシステムにおいてもそうです。戦闘メンバー、家族計画など、とにかくゲームを進める上であらゆる点が「夜鳥子」に縛られ、それを拒否するとゲームが進みません。「夜鳥子を拒絶する」=「ゲームクリア不可能」になっています。つまり、私がゲームをクリアできなかったのもそういう理由です。
最初からそういうコンセプトのゲームだったというなら、それはそれでやりようがあったと思います。制作者が同じである「リンダキューブ」などは実際そういう面がプラスに働いていたと思います。しかし「俺の屍を越えてゆけ」というタイトルの続編でそれをやるのは非常に食い合せが悪く、シナリオにおける「夜鳥子」の掘り下げが甘いこともあって、プレイした感覚としては「なんだかよくわからない人のために我が家の資産が食いつぶされ、我が子が苦労させられ続けるのを実感するゲーム」という印象が拭えません。「俺屍」というタイトルと中身が合っていない、というのが端的な感想です。
快適性は低いです。何をすればよいか提案してくれる「コーちん」のナビシステムだけは便利で良かったのですが、それ以外の問題点が大きすぎました。
とくに、広すぎる上に全体マップがなく現在地の把握が困難な迷宮、その迷宮を唐突に通せんぼしてくる無数の鍵(対応する鍵がどこにあるのかはノーヒント)などは大きな問題です。鍵はとある裏技でなんとかなるのですが、そもそも探索に時間制限があるゲームなので、広く複雑な迷宮自体がまったく楽しくないのです。前作ではその辺を考慮してシンプルな構造になっていたと思うのですが、続編でなぜこうなったのか理解に苦しみます。迷宮を移動するときの視点も非常に見づらく、敵を回避したり、逆に敵にアタックを仕掛けるのもやりにくく、とにかく探索中は常時ストレスを感じていました。
また、「遠征」のアイディアは良かったのですが、その「遠征」によって行ける国のリストに出てくる国がどうにも自分の現状に合っていなかったり、かといって条件に合った国を検索する機能もほとんどなかったり、にもかかわらずこの「遠征」を行わないとゲームプレイの幅が非常に狭まってしまったり…と問題点は多いです。
COMMENT
とんでもなく質の悪いゲーム未満のシロモノだとか、制作者のやる気の無さがにじみ出ている駄作だとか、そういったものではありません。オリジナリティも良いところもあります。しかし総評としてみると、「ここをこうすればよかったのに」「なんでこうしてしまったのだろう」という残念感が非常に大きいです。
特に、ゲームの中心に特定のキャラクター「夜鳥子」を、決して取り除けないレベルでガッチリ固定してしまった点については、なぜ「俺屍」でこれなのか?という疑問がどうしても拭えません。前作のファンでなければここまで疑問は感じなかったのかもしれませんが、このゲームは各種広告媒体、テレビCMに至るまで再三にわたって「前作」を意識したアピールを行っていましたから、肩透かしを食った気分です。
制作者がこちらの気持ちを理解していなかったのか?それとも、こちらの予想をあえて裏切ることで期待に応えようとしたのか?真実はわかりません。制作者のコメントも出ていますが、それがすべて本心である保証などどこにもありません。ただはっきりと言える自分の中のこととしては、「俺の屍を越えてゆけ」というタイトルを15年前に聞き、そのゲームをやったときに感じたものは、このゲームの中には感じられませんでした。