サガ スカーレット グレイス レビュー
発売元 | スクウェア・エニックス(オフィシャルサイト) |
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発売日 | 2016/12/15 |
価格 | 7,344(税込) |
レーティング | 【B】12才以上対象 セクシャル 暴力 (CERO について) |
ショップ/リンク | Amazon |
タギングトップ3 | |
タイトル概要 | ■ ジャンル:RPG ■ プレイ人数:1人 |
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GOOD!
■バトルシステムがよい
毎ターンのコマンド入力前に敵味方全員の行動順と敵のとる行動が提示され、それをもとにこちらの行動を組み立て、入力完了後そのターンに起こる結果を眺めるという流れです。
従来のサガシリーズのバトルとはまったく異なり、FF10のバトルをターン制にしてゼノブレイドの未来視の要素を加えたような感じなのですが、とにかく、よくできています。
ゼノブレイド同様に、やばい攻撃を繰り出してくる敵にどう対処するかがカギで、状態異常にして妨害したり、能力を下げて被ダメージを減らしたりといった事が非常に重要で、作戦を練る楽しさがあります。
技や術の使用に必要なポイントを全員で共有かつ毎ターン全回復というのもナイスアイデアで、もし敵の数を減らせば残った敵が有り余るポイントを駆使して強力な攻撃を連発するので、戦闘の序盤から最後まで気を抜けないように工夫されています。
■バトルの細かな要素の解説がよい
上で書いたことに関連しますが、今作のバトルシステムをサポートするUIや説明文が非常に細やかで丁寧と感じます。
この武器の威力はどのパラメータが影響するとかも余さず説明されていますし、技の攻撃属性とかも簡易ヘルプにきちんと表示されています。
「状態異常の敵はさらなる状態異常にかかりやすい」といった細かなルールもTIPSに網羅されていていつでも読み返せるだけでなく、「まず成功率の高い毒をかけて、その後本命の状態異常を狙う手もある」というように、ルールをうまく活かした指南的な事までも説明されています。
従来のサガシリーズではこういった点はほとんどマスクデータで、攻略本などを見ないとなかなか知りようのない部分だっただけに、飛躍的な改善と言えます。
BAD/REQUEST
■モンスターのバリエーションが少ない
モンスターは種類こそ結構な数がいますが、そのほとんどは色違いで占められており、実質的なバリエーションは極めて少ないです。
ロマサガ1リメイクで出てきたココナツ投げに定評のある巨人樹が序盤で出てきたと思ったら、その後レモンやらヒヤシンスやらの新種の色違いが続々登場してきたのには絶句しました。
見た目だけならまだしも使ってくる技もほぼ同じなため、バトル体験の面でも新鮮味に欠け大きな問題です。
ロマサガ1リメイクのモンスターを出すなら、そのまま使いまわせるやつもっといっぱいいるだろうと思うんですが…。
■モンスターの強さが変動制である
従来のサガシリーズでは、戦闘を重ねるたびに出現する敵が上位のものに変わり、徐々に戦闘の難度が上がっていくというものでした。
今作はこれとは全く異なり、同じイベント(場所)なら出現する敵は固定であり、代わりに敵の能力がこちらの強さに応じて劇的に変動するというFF8に近い仕組みになっています。
本作のバトルは計画性が重要であり、同じ敵でも強さが変動するというこの仕組みは少々、相性が悪いと思います。
ある戦闘でゴブリンを倒せたとしても、次に会った時には同じゴブリンでも中身は別物に変化しているわけですから、どの攻撃をどのくらい当てれば倒せるかは毎回毎回1発殴ってみるまで分からず、経験が後々に活きないのです。
■技・術の種類が少ない
技の種類は長剣こそ15ありますが、それ以外は武器ごとに10ちょっと。術に至っては各系統わずか3つしかありません。はっきり言って、少ないです。
また、どの技術も簡単にひらめくので、あっという間に揃うという所も少なく感じるのに拍車をかけていると思います。剣技最強のマルチウェイも小屋の周りにいるノーマルの猪であっさりひらめきます。上で書いた敵の中身変動制が影響しているのか、ひらめきの難度が敵ではなくスキルLvに影響するように変更されたのかも知れません。
従来、サガシリーズでは敵に設定されたランクが高いほど技をひらめく確率が上昇する仕組みになっていて、序盤から会える強い敵(サーベルタイガーとか)や通常では会いにくい最強クラスの敵(アスラとか)は一種の名物でしたが、今回はそういう概念はないと言っていいです。
■ローディングが長く、頻度も多い
初期に公開された動画からはだいぶ改善はされましたが、それでもまだ長いです。
戦闘時はまず準備画面の表示までに5秒、準備完了後戦闘開始まで10秒。そして毎ターン、コマンドを入力し終えてからのレディゴーで5秒待たされます。
マップ移動時は、州を選んでジャンプできたりはせず基本的に徒歩なので、遠いエリアまで行く時は州をまたぐたびに何度もローディング(世界地図の演出表示)を見る羽目になります。
■シナリオの進行が不安定
前章でシグフレイを倒したのに、次章でウラ賭場から前章のイベントがロールバックされ復活する海キノコとシグフレイ。ツチノコと石化魔女の噂を信じたのに、噂を全部無視したと判定され襲いかかってくるツチノコ。釣り人と会話中にモンスターと思しきあぶくが出現と思ったら何の演出もなくぱっと消えるあぶくと釣り人。
…といった感じで、特にメインシナリオ関連にて進行フラグの制御が適当な箇所が少々見られます。
COMMENT
従来のサガシリーズからのバトルシステムの大幅な変更や、ダンジョンや町などのローカルマップ完全排除、アンリミテッドサガ同様の紙芝居形式で展開されるイベントなどなど、発売前は正直微妙かなと思ってたのですが、いざ実物をプレイしてみると、思ってたよりは良かったというのが第一印象です。
特にバトルシステムがここまで出来がよいというのは、予想外でした。上でもFF10+ゼノブレと書いたとおり、システム自体はすごく目新しいというほどではないのかも知れませんが、楽しく遊べるよううまく仕上がっています。
単にダメージを与えるだけでなく、行動順をずらしたり妨害したりが必要で工夫のしがいがあります。その中で連撃という要素もあり、敵を倒す順番を考えさせられたりして、純粋なRPGというよりもシミュレーションRPG的な雰囲気が少しあります。そういうゲームが好きな人に向いているかもしれません。
おそらく多くの人が心配すると思われる、ローカルマップ無しという思い切ったシステムは、個人的にはあまり気になりませんでした。ただし、サガシリーズはもともと、マップの探索しがいが凄くあるとかギミックが凄く凝っているというゲームではなく、ひらめき・連携の戦闘と、独特のセリフ・世界設定が特色だと思うので、元々気にしてなかったというのもあります。人によっては大きなマイナスポイントになり得ます。
ではRPGといえばバトル!探索要素など不要!という肉体派ならこのゲームを楽しめるのかというと、必ずしもそうはいかないと思います。というのも、BADの欄に書いたとおり技・術が簡単にコンプリートでき、モンスター等のバリエーションが乏しいため、せっかくバトルシステムはよいのにあまり長くやり込める仕組みになっていないのです。
最初の数時間はこれって凄いゲームなんじゃないかと思えるのですが、中盤ぐらいになるとダレ始めると同時に敵が色違いばっかりだなと感づくようになり、終盤にはどの武器の習得技術欄にも???表示がなくなりえっこれで技もう全部?みたいな展開になります。
物量に乏しいという点ではマップ上に配置されたイベントもそうです。公式サイトでは数千のイベントがあるとアピールされていますが、このうちの多くはセリフ等が何もなくバトルが1回発生して終わりだったりします。また各所を回るような長めのイベントではA町、B洞窟、C神殿で起こることそれぞを1イベントとしてカウントしているようです(でないと数千に達しないので)。なので、正味のイベントは数千という数よりもかなり少なく感じます。
グラフィックなどの見た目は良くともベースのシステムが微妙、というゲームは多くありますが、このゲームはそれとは逆に根幹となるバトルの仕組みが非常によくできています。ただ、その基礎の上に乗っているものが少なすぎる、もしくは問題が多いように思います。ゲームというより、新バトルシステムとサガテイストの雰囲気を楽しむツールという感じです。ゲームの全体的な完成度は低いです。
ただししつこいようですがバトルは非常に良く、探索要素の排除やアンサガ形式のイベント進行も仕組み自体は決して悪くないと思います。なので今作をベースにローディングなどを改善し、全体にボリュームを強化したものが出れば化ける可能性は秘めています。
現状では人に強くオススメできるゲームではありませんが、もし完全版なり続編があるのであれば要注目です。