フルコンプしたので追記します。
フルコンプを終えて、主人公に対する印象がだいぶ悪くなりました。仕事に対していい加減、かつダメだと言われている単独行動で考えなしに敵地に突っ込んでは攻略キャラに助けられる典型的なお荷物主人公でした。凛としたビジュアルの反面言動の幼さが目立ち、嫌なギャップがプレイヤーのイライラを煽ると思います。恋愛過程もほぼなし。日露戦争という重いテーマの作品ですが、切なさや葛藤は皆無。ほとんどがスパイ活動に絡む事件で、日露戦争に絡む描写はラストに多少あるかないかです。軍服至上主義、設定さえよければどんな駄目シナリオにも耐えられるという方以外は購入されない方がいいかと。

Ｄ３のスタッフの方が公式サイトで明言されていた、軍服男子の乙女ゲーを作りたいと思って軽い気持ちで開発したゲーム、という意味が本当によく分かる作品だったと思います。おっしゃる通り非常にライトな作品に仕上がっています。

Ｄ３さんはそろそろユーザーの声に耳を傾けて、プレイヤーが好感を持てる主人公とは何かを考え、ストーリーの質の向上をはかった方が良いのではないでしょうか？

〈一周目感想〉
Ｄ３さんのゲームの評判を聞き及んではいましたが、海軍・日露戦争と個人的に魅力のあるワードに抗えず予約購入。伊予部ルートをハッピーＥＤノーマルＥＤとクリアした上での感想です。一言で言い表すと、Ｄ３さんにこの時代のシナリオは荷が重すぎたのでは…という事です。

〈システム〉
クイックセーブ＆ロード、選択肢スキップあり。文章横の主人公顔グラはなく、名前変更可。乙女ゲームに必要、便利だなと思う機能は一通りついていると思います。ただエクストラは画像鑑賞と音楽鑑賞しかなく、シーン回想や後日談のおまけなどはありません。

〈画像〉
スチルは一人１０枚、伊予部ルートでは差分はありませんでした。人体の崩れなどはなく概ね綺麗ではありましたが、こちらの絵師さん特有の目の周りの皺の多さと、立ち絵の鼻の脇にある三角の謎の線が気になって、プレイに集中できませんでした。

〈ヒロイン〉
頑張り屋さんのいい子ではあります。しかし、ショックな事があった際に仕事をすっぽかし帰宅してしまったり、大切な潜入捜査で男の人に触れられて驚いたからといって相手を背負い投げしてしまったり。そんな事しちゃって社会人として許されるのだろうか…という描写が所々見受けられ、あまり好感は持てませんでした。そしてかなりのハイスペックです。柔道でも海軍同僚相手に負け知らず。英語を話せる…という設定でしたが、努力したというエピソードは特になくストーリー終盤には英仏露、３カ国後を操る事になっていました。

〈ストーリー〉
序章＋全１０章で成り立っています。各章は１５分〜２０分程度。共通ルートは序章のみ、１０章は全て個別ルートのようです。初回プレイは音声を飛ばしつつ４時間。選択肢は各章に１つ程度だったので、話が長めのアプリのようなイメージを受けました。

ストーリーの質的にもアプリを少しレベルアップさせたかな？というもの。地の文がなく、会話と主人公の心の声でストーリーが進むのも、個人的にはあまり好みではありませんでした。次々と色々な事が起こるのですが、大抵事件の描写の後、主人公の独白？といった形で『この後あの事件は誰が犯人でこの人が解決してこんなふうになりました…』とこの描写だけであまりにあっさりと終結に向かいます（苦笑）主人公がたいした活躍もしていない頃から有能だとちやほやされますので、苦手な方はご注意。

恋愛過程は多少感じられたものの、仕事以外の交流がほぼない中、唐突感は否めませんでした。

最後になりますが、予約特典ブックレットは全３８ページで、主人公の気持ちに感情移入でき切なくなりました。正直ゲームよりブックレットのストーリーの方が読み進めやすかったです。まだ１ルートプレイしただけなので今後感想が変わるかもしれませんが、今のところ海軍や日露戦争をテーマとした重厚なストーリーを期待している方の購入はお勧めできません。なんちゃって海軍のご都合主義展開どんとこい！という心の広い方のみの購入をお勧めします。